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大井社長について
学生時代
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吉田
まず大井社長の学生時代の思い出ですとか、趣味とか座右の銘とかからお聞きしたいと思うんですけれども、学生時代は文系でいらっしゃいましたよね。
大井
そうなんです。文学部で歴史を専攻しました。それで普通に就職活動をして、色々な会社、分野を回って、たまたま日本電子という会社を知って説明会に出たんです。それで会社の事業内容を聞いて、なんて面白い会社なんだろうということで。
吉田
学生時代はどういう思い出がありましたか?
大井
普通の学生でしたけど、趣味がクラシックピアノの演奏なので、大学では「ピアノの会」というサークルで、コンサートとかイベントをやっていました。今でも時々弾いています。
座右の銘
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吉田
座右の銘とか、好きな言葉とかお持ちですか。
大井
これというのはないんですけど、当社の経営理念の言葉が好きなんです。世界最高の技術に挑戦するとか、科学技術に貢献するというようなところですね。
経歴
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吉田
入社されてからの経歴も教えてください。
大井
最初は東京支店で、電子顕微鏡を中心に営業をしていました。お客さまに恵まれて、非常に良い期間を過ごせたと思っています。文系ですから最初はわからないところもすごくありましたけど、研究者の先生がどういう研究をしているかとか、民間企業でどういう研究開発で何を解決したかとかいうようなことを知るのも面白かったですね。
それから海外営業に移りまして、2年間ほどアジアの仕事を東京から見て、その後はアメリカのボストンに9年いました。
吉田
じゃあ海外も9年間、アジアまで入れると11年間くらいですか。
大井
そうですね。帰ってから1年間は電子顕微鏡の販売促進のグループ責任者をやっていたのですけど、その後、走査型電子顕微鏡という顕微鏡の部門の技術責任者を3年やりました。部下は全員理系で、しかもみんな年上でした。
吉田
御社の場合は最先端の超難しい技術だから、理解するのも大変でしょう。
大井
設計系の新しい技術とかは、理解するのも困難です。ただ、今から振り返ると、それが何の市場で役立ってどのような競争的優位に立てるかとか、技術とマーケットの両方を繋げてくれという上層部の意図があったのかなと思いますね。
吉田
技術系の会社のトップをされるのなら、やっぱり技術のことも詳しくないと。
大井
そうです。技術側の課題とか製品開発のステップがよくわかりましたし、新しいことに挑戦するという面でも、この3年間というのは非常に良い経験になったと思いますね。
仕事を行う上で大事にしてきたこと
吉田
仕事を行う上で大事にしてきたのは、どんなことでしょうか?
大井
何かを判断する際に、独りよがりで判断しないで、いろんな人の意見を聞いて、市場の状況をよく見て、最適なものは何か考えるということです。ただ、プランニングも大切ですが、それ以上に戦略を実行して前に進めていく力が、すごく重要だと思いますね。
世界でも数社だけの技術が強み
日本電子株式会社について
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吉田
次に会社のことをお聞きしたいのですけど、御社と当社は非常に似ているんですよね。創業が同じ年で、今年75周年。技術を特徴としている会社で、御社は3部門ですよね。理科学・計測と産業機器と医用と。当社は2部門で計測と半導体ですけども。あと規模も、だいたいグループ従業員数4,000人近く。3か年の中計最終年度で、その目標としている数字もほぼ一緒なんですよね。そういう意味で親近感を感じるんですけども、1番の御社の製品もしくはサービス、こういうこだわりとか特徴というのは、どういうところでしょうか。
大井
当社は電子顕微鏡の開発会社として創立されました。電子顕微鏡というのはご存知の通り、非常に細かいものを見たり、それを測定したりというもので、その技術にこだわってやってきました。最近はナノメーターの領域で何かを測ったり見たりというのが必要になってきているので、そういう最先端の微細なことを色々とできることが強みになっています。
それが非常にニッチな技術で、グローバルニッチトップ企業というものを国から2回表彰されています。1回は電子顕微鏡で、1回はNMR(核磁気共鳴装置)で表彰を受けたんですけれども、そういう世界でも数社しか持っていないような技術を持っているんです。
日本電子、ネイチャーインデックスランキングで日本企業2位
出典 :
大井
科学雑誌のネイチャーが、日本企業のネイチャーインデックスランキングというものを出しているんです。影響力のある科学雑誌にどれだけ論文を載せたかというのが、大学や国立機関、企業、国別に全部出ていて、毎年更新されますが、2023年は当社が日本企業で2位でした。トップクラスの科学者が我々の装置を使って研究し、当社の技術者が論文を共著するパターンが多いようです。
吉田
すごいですね。やはり御社の1番の強みは技術ですね。
大井
電子顕微鏡とか、NMRもそうですが、どんどん技術が新しくなっていますので、そういう技術を用いて研究開発できるというのが特徴で、それをビジネスにどう生かすか考えて実行するのが我々の仕事というわけです。
科学技術の未来をはぐくむ挑戦
サステナビリティへの取り組み
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吉田
御社もサステナビリティ活動を重視されていると思うんですけども、どんな形で取り組まれていますか?
大井
2つポイントがあると思っていまして。1つは、これは手前味噌なところもあるんですけど、我々の事業をしっかり継続して拡大することによって科学技術への貢献を続けるのが非常に大きいと思います。例えばCOVID-19、新型コロナウイルスの1株や、それが人のタンパク質にくっつくところを電子顕微鏡で見ることができて、それがワクチンの開発に結びつきました。
もう1つは理科教育です。専属のチームがほぼ連日、卓上型の電子顕微鏡を小学校や中学校に持っていって授業をやっています。
人財への投資
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吉田
技術力をどんどん進化させていくためには人財が非常に重要だと思うんですけど、御社で何か取り組んでいることはございますか?
大井
NMRとか電子顕微鏡というのは非常にニッチな技術で、日本の大学でそれらの基礎を身につけて入ってくる人はほとんどいないんです。ですから、自分たちで育てるしかないんですけど、そのベースは確立されています。例えば電子顕微鏡ですと電子光学というレンズを作る技術、真空の技術とかいくつかのその要素技術があるんですけど、それぞれのプロフェッショナルがいて、技術者を育成するメニューをしっかり持っております。そのほか、大学や研究所に人を出して、特定の分野に非常に強い人財を育てるというようなことをやっています。
あとは海外ですね。グローバルに活躍できる人財を育成することに注力していまして、英語教育は強化しています。
吉田
英語教育というのは、具体的に社内でどういったことをされるのでしょう?
大井
当社は海外の拠点が26か所あるのですが、将来の駐在候補者を会社全体から年間100人くらい選んでその人たちには相当な英語教育を会社負担で受けてもらっています。
吉田
海外で通用する人財を会社がきちんと育てていくわけですね。
大井
はい。今、当社は世界130か国以上に輸出していて、輸出比率は65%前後です。海外でのネットワークを維持し、広げていくのは非常に大事な仕事で、そうしないと会社が成長しないと思っているので。ですから英語には非常に力を入れていますし、技術者には海外での学会発表もどんどんやって経験を積んでもらっています。
高精度部品製造を支える測定機
測定機とのかかわり
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吉田
当社製品をどういうところで、どういう思いで使っていただいているかということを、お聞きしたいなと思います。
大井
御社の測定機の導入の歴史を調べてもらったんですけれども、ちょうど今回更新を決めた三次元の座標測定機は1999年に入ったもので、今までずっと使われているそうです。それまでは結構職人肌でやっていたようなのですが、やはりこういう測定をしていかないとものづくりの進化はない、という考えに至ったきっかけの1つが、この三次元座標測定機だったということです。
例えば電子顕微鏡の中のレンズの高さや真円度といったところの測定に使わせていただいて。当社ではソフトウェアなんかも自分たちで作って自動で測定させたりしているのですが、その新しい計測機を入れていただく時に、そのソフトウェアをうまく展開できるように柔軟に対応していただいているということで、大変感謝しております。
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吉田
今回入れさせていただく測定機も、世界最高精度水準の機械ですからね。御社はそういうところの各部品の精度にも相当こだわりがあるんでしょう。
大井
あります。真空中の機械の動きを、ナノメーター単位で制御する必要がありますので、非常に高い精度とクオリティが要求されます。
吉田
当社の測定機で、その世界最先端の、最高精度のためにお役に立ちたいと思いますので、よろしくお願いします。
当社の要望
吉田
そのほか、当社にご要望などはございますか?
大井
サービスもしっかりしていますし、柔軟な対応をしていただいているということで、非常に満足しているというふうに聞いております。次の装置を心待ちにしております。
YOKOGUSHIが生む新たな価値創造
事業やモノづくりへの想い
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吉田
これから未来に向けて、事業とかモノづくりについての社長の思いをお聞かせください。
大井
やはり創業者の思い、科学技術に貢献するというDNAは非常に大事だと思いますし、そこが社員のエンゲージメントにもなっています。ただ、それだけでなく、収益をしっかり出して、その収益をまた研究開発とか投資に回して、また最先端のことをやっていくっていう循環が必要ですから。理科学・計測機器は、科学技術分野でももちろん大事ですけれども、より産業的な分野も重要だと思っています。例えば半導体向けの電子顕微鏡を開発し、台湾や韓国の大手半導体メーカーに納入しました。
大きな市場に独自のソリューションを提供することで会社を成長させ、収益をしっかり上げ、それが社会貢献に繋がるという良い歯車を回し続けていきたいですね。
YOKOGUSHIについて
吉田
御社で取り組まれているYOKOGUSHIにも、そのような思いが込められているのでしょうでしょうか。
大井
そうですね。もう10年以上前なんですけれども、お客さまが求めるソリューションの中には、事業部単独で解決できないことが当然あって、他の製品とか他のアプリケーションも使いながら解決することが必要になってくる。それで、他の事業部の装置も考えながらソリューションを一緒に出すことが必要だねということで始めたんです。
社内だけではなく、他社さんが持つ素晴らしい製品やソリューションと当社がタッグを組むことで、1足す1が3になるような仕事ができないかという思いもありました。例えばマルチビームマスク描画装置という全く新しい装置はオーストリアのIMSという会社と一緒に開発しましたが、1社じゃなくて2社あるいは3社で一緒に取り組むと、今までにない価値を創造できる可能性があるというのがYOKOGUSHIの背景ですね。
吉田
その辺は当社と結構似ていますね。うちも世界中の色々な技術とかリソースを集めて、世界ナンバーワンの商品を作って、それで世の中に貢献していこうっていうのが当社の企業理念なんです。今社長のお話を聞いていて、やっぱり同じような方向感で取り組まれているんだなっていう思いがしました。今度、御社とコラボレーションできるといいですね。
大井
そうですね。ぜひよろしくお願いします。
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株式会社東京精密 代表取締役会長CEO
吉田 均
1983年4月
(株)東京精密 入社
2002年4月
計測社執行役員 汎用計測グループリーダー
2005年4月
計測社執行役員常務
2005年6月
取締役就任
2015年4月
代表取締役社長CEO就任
2022年4月
代表取締役会長CEO就任(現任)
2016年
NDマーケティング大賞受賞
2020年
日本精密測定機器工業会会長就任(現任)
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日本電子株式会社 代表取締役社長兼CEO
大井 泉
1986年4月
日本電子株式会社入社
2012年4月
経営戦略室長
2013年6月
執行役員経営戦略室長
2015年6月
取締役兼執行役員経営戦略室長
2016年6月
取締役兼常務執行役員経営戦略室長
2019年4月
取締役兼常務執行役員経営戦略副担当
2019年6月
代表取締役社長兼COO経営全般、最高執行責任者
2022年6月
代表取締役社長兼CEO(現任)
日本電子株式会社
1949年、株式会社日本電子光学研究所として設立。電子顕微鏡をはじめとするナノテク分野で世界トップレベルの先端装置を開発している理科学機器メーカーです。
基礎研究から応用分野まで、国家・民間を問わず、多くの機関や企業様の研究開発を支える装置を提供しています。
※2024年9月時点の情報です。