トップメッセージ

「未来を創る」パーパスと、道筋を示すビジョン・ミッション
当社グループは「計測で未来を測り、半導体で未来を創る」というパーパスを定めています。精密測定機器や半導体製造装置の製造を通じ、社会をより豊かにしていくために貢献していくという“決意”をまとめた言葉です。計測機器はあらゆるモノづくりに必須のアイテムであり、半導体製造装置から生まれる各種半導体も世の中に欠かせません。共に世の中の基盤となるビジネスです。このビジネスを通じ存在価値を世の中に示していくために、役員・従業員全員が方向を合わせ、“決意”を実現するための施策を着実に実行していく必要があります。
そのための具体的な方法をまとめたのが、“夢のある未来”を築く一員であり続けることをうたった「ビジョン」、WIN-WINの仕事で世界No.1の商品を創ろうと訴える「ミッション」「バリュー」です。加えて「サステナビリティ基本方針」では「全てのステークホルダーとの間でWIN-WINの関係を創りあげ、持続可能な社会の実現に向け積極的に役割を果たす」と規定し、多様な価値判断基準や感覚を持つ各ステークホルダーとの共存を掲げています。
サステナビリティは“夢のある未来”に不可欠
共存していくには何が重要か。私はまず、当社グループについてステークホルダーの皆さまにご理解いただくことだと思っています。株主さまであれば当社グループの成長戦略、お客さまならCO₂排出量削減などサステナビリティ面を含めた製品メリット、サプライヤーさまや商社さまには製品に対する方向感の共有など、それぞれのニーズに合わせた情報共有やPRを行う。一方ではゴールを設定してPDCAを回し、事業成長やESGなどの個別・具体的な目標に取り組み、成果を挙げる。こうした動きを続けてこそ、当社グループに対する皆さまの理解が深まるのではないでしょうか。
いずれにせよ、大切なのは当社が存在することによって、どれだけの人々が直接的・間接的に豊かに、幸せになるかということです。パーパスもビジョンもサステナビリティ基本方針も、それを明確にするために制定しました。サステナビリティ活動もその実現のために行っています。当社のサステナビリティ活動の中核であるサステナビリティ委員会には、各カンパニー、国内グループ会社のトップをはじめさまざまな階層の従業員が参加しています。活動を通じてサステナビリティへの理解を深めるとともに、目標設定とPDCAサイクルを通じて成果につなげています。
サステナビリティなくしては、“夢のある未来”もあり得ません。我々は今後も、パーパス実現を目指し、研究開発から生産、営業、サービスまで、あらゆる側面からサステナビリティの充実に取り組み続けます。
サステナビリティを本業にいかに組み入れるか
サステナビリティへの取り組みは、企業価値向上を目指すのであれば絶対に欠かせません。利益のみを追っても意味がない。企業理念に謳うだけでも意味がない。世の中の役に立ってこその企業です。
地球温暖化は危機的な状況へと向かいつつあります。50年後、100年後に、地球は果たして人類が住める環境であり続けられるのでしょうか。一人ひとりが真摯に捉え、家でも仕事でも考えていく必要があります。社会面でも、皆が働きやすい環境とはどういうものかを考えれば、自ずとDEI(ダイバーシティ&インクルージョン)につながります。いずれにせよ、サステナビリティサイトに良いことを書いてそれで終わり、ではなく、本気で推進できるのか、本業にいかに組み入れるかが鍵です。
私は2025年6月で、10年務めたCEOを退任しました。今後はサステナビリティ委員会の委員長職に注力していく考えです。そして当社グループを、従業員が勤めていることを誇れるような会社、協力企業が付き合いを誇れるような会社にしていきたいと思っています。大切なのは徒に利益のみを追わず、獲得した利益を使っていかに世の中に貢献していくか。それを皆で、一緒に考えていきたいと思います。

マテリアリティを改定し、6つのテーマを新設
「計測で未来を測り、半導体で未来を創る」という当社グループのパーパスを実現していくにあたり、サステナビリティへの取り組みは欠かせないと考えています。そのためのロードマップとなるのが、2025年4月に改定したマテリアリティです。ESGと事業を包括する6つのテーマを新たに設け、テーマ毎に関連するマテリアリティを定義した後、優先して取り組むべき「活動」を設定しました。最大の特徴は、「事業基盤の強化」という項目を設けて事業活動とサステナビリティとの「融合」を図ったことで、今後、「活動」に関する実施計画を策定、実行していきます。
誰もに「良い会社だな」と思ってもらうために
環境面で重視しているのは、我々が手掛けた製品によって環境問題を解決し、あるいは環境に対し貢献していくことです。当社グループはエネルギーを多く使って製品を作る企業ではないため、直接CO₂排出量を減らすことで能動的に環境問題解決に貢献することは難しいと考えています。代わりに、CO₂排出量の低減に役立つパワー半導体デバイスの製造工程に用いられるプロービングマシン、化学物質の代わりに水を使って研磨を行うため環境負荷が低いグラインダ、NEV(新エネルギー車)バッテリーの性能を測る充放電試験装置などを通じた、間接的な環境貢献を志しています。ポリシングなどで用いるスラリー(液体と固体微粒子の混合物)のリサイクルにも、今後取り組みます。
社会面では、当社グループのみならずサプライチェーン全体にわたって調達リスクや人権などを管理していく仕組みを構築しているほか、より良い職場環境を実現することで従業員の心身の健康を保ち、エンゲージメントを高めていきたいと思っています。DEIの側面でも、女性従業員数目標をクリアできたので次の段階に進みます。
ガバナンス面では、グループ全体で⾼い企業倫理・遵法精神を育成する一方で 適時・適切な情報開示を進めていく考えです。
2025年4月からは、新中期経営計画が始動しました。改定したマテリアリティとともに今後の当社グループの道しるべとなるもので、そこでも「サステナビリティマネジメントの進化」を重要課題のひとつに設定しています。ESG経営は、事業の発展と不可分なものです。
私は常々、ステークホルダーの皆さまの「こういうことがやりたい」という気持ちにより良くお応えできるような会社を目指したい、と申し上げてきました。この計画が成功裡に終われば、ESG面でも事業面でも、理想とする姿にまた一歩近づけると思うのです。その時に社外の方には「東京精密って良い会社だな」と、従業員には「この会社に勤めて良かった」と思ってもらえれば、こんなに嬉しいことはありません。皆さまには何とぞ、末永いお付き合いをお願い申し上げます。
各課題への取り組み


