労働安全衛生
東京精密グループは機械メーカーであり、製造や物流の現場には装置や部品、工具や加工機械などが多く配置されています。また、製品が生産用設備であることから、納入・設置、保守点検など、お客さまの生産現場という慣れない環境での作業も少なくありません。これらのリスクを細心の注意力をもって探り出し、作業者の動作・動線を観察・予測して安全リスクを最少化する措置を実施することで、日々の職務行動を安全で合理的に進められるよう、安全衛生の取り組みを進めています。
目標と実績
目標 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
休業災害(件) | 0 | 0 | 2 | 1 | 4 |
不休災害(件) | 0 | 6 | 10 | 12 | 15 |
対象範囲:東京精密 半導体社・計測社・業務会社の従業員および派遣社員
労働災害の状況
2023年度の事故の型別労働災害発生状況では、「はさまれ、巻き込まれ」と「転倒」の災害が大部分を占めました。転倒災害については、歩きスマホなどのながら歩行の禁止を周知、また作業中のつまずき防止のため、整理整頓の励行と職場巡視を強化するなどの取り組みを進めます。
事故の型分類表
分類 |
労働災害件数(件) |
労働災害死傷者数(名) |
飛来、落下 |
2 |
2 |
切れ、こすれ |
4 |
4 |
はさまれ、巻き込まれ |
6 |
6 |
転倒 |
5 |
5 |
激突 |
0 |
0 |
無理な動作 |
1 |
1 |
対象範囲:東京精密 半導体社・計測社・業務会社の従業員および派遣社員
指標のモニタリング
東京精密では、労働災害の発生状況を評価する指標として度数率・強度率を採用しています。
毎年の実績および製造業(事業所規模100人以上)の状況をモニタリングしています。
休業災害度数率*¹の推移
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
全産業*² | 1.80 | 1.95 | 2.09 | 2.06 | 2.14 |
全国製造業平均*² | 1.20 | 1.21 | 1.31 | 1.25 | 1.29 |
電気機械器具製造業*² | 0.54 | 0.52 | 0.54 | 0.53 | 0.54 |
東京精密単体 | 0.71 | 0.00 | 0.53 | 0.26 | 0.99 |
半導体社・業務会社 | 0.97 | 0.00 | 0.66 | 0.33 | 0.94 |
計測社 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 0.00 | 1.15 |
*¹ 度数率 労働災害による死傷者の発生頻度を示す
計算式 (死傷者数/延実労働時間数)×1,000,000
*² データは厚生労働省「労働災害動向調査」による
休業災害強度率*¹の推移
2019年度 | 2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | |
全産業*² | 0.09 | 0.09 | 0.09 | 0.09 | 0.09 |
全国製造業平均*² | 0.10 | 0.07 | 0.06 | 0.08 | 0.08 |
電気機械器具製造業*² | 0.01 | 0.05 | 0.01 | 0.02 | 0.01 |
東京精密単体 | 0.003 | 0.000 | 0.040 | 0.000 | 0.008 |
半導体社・業務会社 | 0.004 | 0.000 | 0.050 | 0.000 | 0.002 |
計測社 | 0.000 | 0.000 | 0.000 | 0.000 | 0.031 |
*¹ 強度率 労働災害によって生じた損失の程度割合
計算式 (延労働損失日数/延実労働時間数)×1,000
*² データは厚生労働省「労働災害動向調査」による
推進体制
当社の八王子工場・飯能工場・土浦工場では、各工場長を安全衛生統括責任者とする安全衛生委員会を設けています。安全衛生に関わる重大事案の立案、審議を行い、安全で快適な職場環境の維持・向上を図っています。また、従業員の職場における安全衛生意識の向上、健康維持および増進を図ることを目的に、本委員会は月1回の開催を原則とし、安全衛生統括責任者が必要と認めた場合には臨時で開催します。2023年度の安全衛生委員会は計画通り開催されました。
なお、50人未満の小規模事業場である古殿工場においては、工場責任者が衛生推進者として職場の安全衛生を推進するとともに、土浦工場の安全衛生委員会に参加、報告しています。年2回の内部監査を行い、その結果を監査室に提出して取締役会に報告するとともに、同委員会を監査室の監査対象にしています。
安全衛生委員会
そのほか各工場では、化学物質管理責任者および保護具着用管理責任者を選任しています。
2023年度の安全衛生委員会開催回数
八王子工場安全衛生委員会
12回
飯能工場安全衛生委員会
7回*¹
土浦工場安全衛生委員会
12回
古殿工場衛生推進者の参加
6回*²
*¹ 飯能工場は、2023年7月の竣工以降
*² 古殿工場は、2023年10月の事業譲受以降
巡視活動
衛生管理者の職場巡視
八王子工場・飯能工場では、設備・作業方法、衛生状態を確認のため、衛生管理者が原則週一回の職場巡視を行い、必要な措置を講じています。衛生管理者職場巡視チェックリストを用いた巡視記録は総務課に提出、5年間保管しています。
転倒防止用の器具の設置
ラックの荷崩れ防止措置
5S*パトロールと安全巡視
土浦工場では、管理職と一般職による週1回の5Sパトロールと安全衛生部会員による月1回の安全巡視を行っています。改善が必要とされる場合には、改善提案後にフォロー巡視を行い、巡視の有効性を確認しています。
* 5S(職場環境の維持・改善のためのスローガン)
整理(Seiri)・整頓(Seiton)・清掃(Seisou)・清潔(Seiketsu)・しつけ(Shitsuke)の5つの言葉の頭文字Sをとって5Sと呼ぶ
床用鋼板パネルの補修
積み置き防止措置
事業場におけるリスクアセスメント
当社では、職場巡視によるリスクアセスメントを定期的に実施し、作業環境を確認するとともに課題を抽出し、対策・改善につなげています。また、新規機械導入時や作業手順変更時はリスクアセスメントなどに加え、機械運転、重機作業、電気配線作業などの教育訓練を随時実施し、危険回避に努めています。
設備リスクアセスメント実施基準による新規設備導入時リスクアセスメントの実施
26件
作業リスクアセスメント規定による作業リスクアセスメントの実施
43件
リスクアセスメント研修
八王子工場では、労働災害防止のため、外部講師によるリスクアセスメント研修を実施しています。2023年度は2回実施し、リスクアセスメントの手法や安全管理体制の構築について座学とグループワークによる、より実践的な学びの場となりました。
教育・研修
社内研修・試験
当社では、通勤や出張、工場内での作業時など、さまざまな場面で従業員が危険から回避できるよう、社内研修や認定試験を実施しています。
2023年度講習内容 |
受講者数(名) |
交通安全講習 | 942 |
救命救急講習 | 15 |
リスクアセスメント研修 | 65 |
高圧ガス研修会保安講習会 | 0 |
低圧電気取扱業務特別教育 | 34 |
八王子工場 フォークリフト社内認定試験 | 13 |
土浦工場 フォークリフト・玉掛け作業・ クレーン安全講習 |
63 |
社外研修
公益社団法人 東京労働基準協会連合会 八王子労働基準協会支部(東基連 八王子支部)
地域労働者の労働災害防止活動の振興のために、東京労働基準協会連合会八王子労働基準協会支部が主催する講習会や、他の団体が主催する講習会に参加しています。業務に従事する上で必要な技能を取得するための講習です。講習修了者は、工場の環境に合わせた社内実技試験を行うことで、従業員の安全衛生教育を徹底しています。
2023年度 東基連 八王子支部主催 講習内容 | 受講者数(名) |
玉掛け・クレーン講習 | 26 |
職長・安全衛生管理者 | 15 |
有機溶剤作業主任者 | 22 |
特定化学物質(四アルキル鉛等)作業主任者 | 12 |
危険物取り扱い 乙種4類 | 5 |
上級救命技能 | 2 |
自衛消防業務 | 4 |
防火防災管理者 | 1 |
フルハーネス | 3 |
フォークリフト | 6 |
動力プレス | 0 |
高所作業車運転技能講習 | 1 |
ガス溶接 | 3 |
対象範囲:東京精密 八王子工場、飯能工場、土浦工場、古殿工場
一般社団法人 日本半導体製造装置協会(SEAJ)
同協会は、半導体製造装置の設置、保守、サービス要員のための安全教育を、業界標準とするべく、「SEAJ 推奨安全教育」を推進しています。当社八王子工場では、同協会の安全教育専門委員会に所属する当社従業員が、製造現場やクリーンルーム内で作業を行う半導体社CEおよび製造・設計のエンジニア向けに、「SEAJ作業安全講習」をオンラインで実施しています。これまでに受講した従業員は、延べ458名に上りました。
2023年度SEAJ推奨安全教育 | 受講者数(名) |
新規受講者 | 28 |
更新講習受講者(3年更新) | 140 |
災害・事故防止
自衛消防訓練
安全衛生委員会下の防災部会では、毎年工場内の子会社、関連会社を含む全ての工場勤務者を対象に緊急事態を想定した避難訓練を計画、実施しています。
2023年度の避難訓練
消防訓練
八王子工場・飯能工場・土浦工場の自衛消防隊は、年間計画に沿って毎月1~2回の定期訓練を実施しています。屋内消火栓操法の迅速性かつ正確性を競う「自衛消防訓練審査会」(主催:八王子消防署・八王子防火管理研究会)には毎年参加し、訓練の成果を発揮しています。
2023年度審査会には、八王子市内の事務所から男女44チームが参加し、当社八王子工場自衛消防隊が「1号消火栓男子B」の部で競い合いました。
2023年 自衛消防訓練審査会
各工場の自衛消防隊訓練
緊急事態想定訓練
危険物質の漏洩・飛散事故が発生した際に、回収や洗浄などの適切な処理を行えるよう緊急事態想定訓練を各工場で毎年1回以上行っています。危険物質を取り扱う各部署は、期初に環境管理責任者へ訓練計画書を提出し、訓練実施後に報告書を提出します。2023年度は、八王子工場13部署で36件の訓練を実施、土浦工場では「ケミカル洗浄剤飛散防止訓練」に160名が参加しました。
強アルカリ性化学物質漏洩想定訓練(八王子工場)
ケミカル洗浄剤飛散時想定訓練(土浦工場)
薬品・化学物質の取り扱い
当社では、工業用薬品の購入を検討する際には、社内規程に従い、含有成分中の環境汚染物質(有機溶剤、特定化学物質、危険物など)の有無を確認する化学物質リスクアセスメントを実施しています。八王子工場の担当部署が八王子工場・飯能工場・土浦工場で行われたアセスメントの結果を基に、薬品の購入可否判断を行います。2023年度は、118件の新規採用および既存使用の見直しによる化学物質リスクアセスメントを実施しました。
また、管理・使用部署に定期点検および定期数量確認を義務付けるとともに、PRTR法、有機則、毒劇物法に基づく化学物質の使用量削減、代替を推進しています。また、八王子工場の安全衛生部会の下部組織である規制物質管理部会が薬品の管理保管状況および薬品の漏洩時対策用品の見直しのパトロールを行っています。
各課題への取り組み