人権の尊重

東京精密グループでは、事業展開する国・地域における法令・文化・宗教・価値観などを正しく理解・認識することに努め、事業と組織の持続的成長と持続可能社会の実現を目指すことを目的に、国連「ビジネスと人権に関する指導原則」など国際的なガイドラインを参照した「東京精密グループ人権方針」を制定(2022年10月3日)しています。

東京精密グループ人権方針

1.

人権に関する基本的な考え方
東京精密グループは、性別、国籍などの個人の属性に関わらず、社会的に弱い立場にある人を含むすべてのステークホルダーのすべての人の人権を尊重し、また、多様な社員がいきいきと働き一人ひとりの能力を最大限発揮できる、安全・健康で働きがいのある職場づくりを推進します。

2.

国際人権規範の支持・尊重、地域労働法令の遵守

東京精密グループは、国際的に認められた「国際人権章典」、中核的労働基準を定めた「労働における基本原則および権利に関するILO宣言」と国連の「ビジネスと人権に関する指導原則」を支持・尊重し、人権尊重へ真摯に取り組みます。また、事業活動を行う地域の労働関係法令を遵守し、労働者の基本的な権利を尊重し侵害しません。各国や地域の法令と国際的に認められた人権との間に矛盾がある場合には、現地法を遵守しながら、国際的な人権の原則を尊重するための方法を追求していきます。

3.

適用範囲
本方針は、東京精密グループのすべての役員と社員に適用します。また、当社のサプライチェーンにかかわるお取引先さまをはじめとしたステークホルダー、その他のビジネス上の関係先に対しても本方針への理解と協力を積極的に求めていきます。

4.

児童労働の禁止、強制労働の禁止
東京精密グループは、事業活動のあらゆる場面において、児童労働、強制労働を禁止しています。さらに、お取引先さまをはじめとしたステークホルダーに対しても同様に児童労働、強制労働の禁止について理解と協力を求めていきます。

5.

差別の禁止と多様性の受入れ
東京精密グループは、グループ役員・社員に性別・年齢・国籍・民族・人種・心身の障害・性的指向・文化・宗教・思想的もしくは政治的信条・出自や家柄等による差別を禁止し、その個人の人格と個性を尊重して多様性を受け容れます。さらに、お取引先さまをはじめとしたステークホルダー対しても同様に差別の禁止について理解と協力を求めていきます。

6.

結社の自由と団体交渉権の尊重
東京精密グループは、組合結成の自由と団体交渉権を含む従業員の権利、その他市民的および政治的権利を尊重します。東京精密および労働組合を組織する国内関係会社は、各会社の労働組合と労働協約を締結し、相互の立場を尊重することによって、秩序ある労使関係と適正な労働条件を確立し、もって両者間の平和を維持することを目的に、双方誠実に遵守履行することとしています。経営層と労働組合役員との間で行われる労使協議会を通じ、経営課題・労使課題の協議を実施し、課題改善を図っています。

7.

ハラスメントの禁止
東京精密グループは、グループ役員・社員による性別や職種・地位等を背景とした嫌がらせ・中傷・冗談・性的な誘いかけ等、個人の尊厳を傷つけたり個人の人格を無視したりするような言動(いわゆるセクシュアルハラスメント、パワーハラスメントやマタニティーハラスメント)、その他一切のハラスメントを禁止しています。

8.

人権デュー・ディリジェンスと救済
東京精密グループは、人権への負の影響の特定・分析・評価や予防、是正のための人権デュー・ディリジェンスの仕組みを通じて、ステークホルダーの人権を守り、持続可能な企業活動を推進します。
東京精密グループが人権に対する負の影響を引き起こした、あるいはこれに関与したことが明らかになった場合、その是正と救済に適切に取り組みます。

9.

人権教育
東京精密グループは、本方針が自らの事業活動の全般に渡って効果的に実行されるようお取引先さまをはじめとしたステークホルダーに周知し、すべての役員と社員に対し、適切な教育と人権に対する意識の啓発を継続的に実施していきます。

10.

情報開示と対話
東京精密グループは、人権尊重の取組みについて、ウェブサイトやサステナビリティ報告書等で報告していきます。本方針および本方針に基づく取り組みに対する外部からの専門的な助言を必要に応じて得ながら、人権尊重の取り組みを強化(改善)していきます。

代表取締役会長 CEO 吉田 均

推進体制

当社グループは、事業と社会の持続可能性を追求する上でマテリアリティの一つに人権の尊重を設定しています。サステナビリティ委員会の分科会に「人権活動PJ*」を立ち上げ、人権デュー・ディリジェンスの体制構築や実務の管理を行っており、重要な項目については、サステナビリティ委員会を通じて取締役会に報告しています。また、サプライヤーにおける人権尊重の取り組みは、同じ分科会の「サプライチェーンWG」と連携して活動しています。

* 人権活動PJ

2022年度に「サステナビリティ委員会」傘下に設置した人権活動PJは、2024年度に人権WGと名称を変更するとともに、人権活動PJを通じて策定した仕組みをさらに発展させ、事業活動を通じて人権の尊重に取り組みます。

推進体制

2023年度の主な活動

「サステナビリティ推進体制 2023年度の分科会 人権活動PJ」をご参照ください。

人権デュー・ディリジェンス

当社は、「東京精密グループ人権方針」に基づき、当社グループの事業活動が与える人権へのリスクを特定・防止・是正するために、2022年度から人権デュー・ディリジェンス実施に向けた取り組みを開始し、株式会社東京精密および国内グループ会社5社、海外グループ会社23社を対象に、Responsible Business Alliance(RBA)行動規範およびオンラインSAQ(Self-Assessment Questionnaire)を参考に人権デュー・ディリジェンスを実施しました。2023年度には、自社およびグループ会社のデュー・ディリジェンスの結果を基に、リスク分析を進めるなか、人権への負の影響評価および人権課題を特定するためのプロセスをまとめた人権デュー・ディリジェンス手順書を策定しました。さらに、サプライチェーンでの人権に配慮する必要があるため、主要なサプライヤーさまを対象に説明会を実施の上、サプライヤーさまのご理解・ご協力の下、人権デュー・ディリジェンスを実施*いたしました。本デュー・ディリジェンスの結果では、人権に対する重大な問題は発見されませんでした。また、サプライヤーさまとの対話のなかではハラスメント社員教育の相談を受け、情報を提供しました。

人権デュー・ディリジェンス取り組み

* 実施率(調達金額ベースの割合):80%、回答率:90.4%

人権デュー・ディリジェンスの全体像

人権リスクに対処するための主な項目

強制労働の禁止

児童労働の禁止

結社の自由

差別の禁止

非人道的な扱いの禁止

適切な賃金と手当

労働時間への配慮

従業員の安全および健康


人権デュー・ディリジェンスの全体像

通報・相談窓口の設置

当社は、従来より法令違反や不正行為等を通報できる内部通報窓口を設置しています。内部通報については、通報者の匿名性の確保とプライバシー保護を徹底するとともに、通報者の不利益にならないよう配慮しています。2023年度の内部通報のなかでハラスメントや差別といった人権侵害に関連する通報件数は、国内0件、海外0件でした。サプライヤーさまからの人権に関するご相談は、お問い合わせフォーム内の外部通報窓口のサイトをご利用いただくようご案内しています。

人権教育・研修

従業員一人ひとりに「東京精密グループ人権方針」が理解、実践されるよう、人権尊重に関する教育・研修を実施しています。2023年度は、障がいのある人に対する十分な理解と配慮が必要なため、「障がい者」をテーマに人権教育を実施しました。

対象者:1,436名(国内グループ会社5社の従業員)
受講率:100%

人権の配慮と労働関連法令の遵守

労働基準や労働安全衛生に関する法令や社会的規範の遵守および人権を侵害する行為の禁止などを「ACCRETECH 行動規範」に示し、この行動規範に関するe-learningを定期的に実施しています。
当社には労働協約によって団体交渉の権利を保障された労働組合があり、選挙で選ばれた従業員の代表が経営者と直接話し合い、協議によって職場環境の改善を進めており、法定労働時間や法定最低賃金が守られていることも確認しています。




各課題への取り組み