化学物質管理
東京精密グループは、使用および部材に含有する化学物質について、国内と輸出先地域の法令を遵守するのはもちろんのこと、法規制外の化学物質に対しても自主基準に基づく管理を行うことで、環境および人への影響が最小限になるよう取り組んでいます。
エコファクトリ
自主基準に基づく化学物質管理
環境を汚染する可能性のある物質を社内規程で定め、該当する物質を取り扱う場合は、環境管理責任者に全て届け出ることとしています。物質ごとの取扱量・保管場所・最大保管量などを把握するとともに、SDS*¹および緊急対策用具を備え、緊急事態を想定した訓練を定期的に実施している他、有機溶剤などの有害化学物質の無害または低害化の代替を進めています。2024年度は、目標化学物質削減品目数10に対して59品目を削減しました。
また、購入・運用変更を検討する際には、化学物質リスクアセスメント*²を実施しています。2024年度は、135件の新規採用および既存使用の見直しによる化学物質リスクアセスメントを実施しました。
*¹ SDS(安全データシート):化学物質
提供する際の、その危険性・有害性、保管や廃棄法などの取り扱いに関する情報を記載したもの。
*² 化学物質リスクアセスメント:化学物質
その製剤の持つ危険性や有害性を特定し、それによる労働者への危険または健康障害を生じる恐れの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討すること。
SDS管理
当社ではSDS管理規程に従い、対象となる化学物質を部署で取り扱う際にはSDSと定期見直し台帳を更新し、品質保証部の管理の下、社内で共有しています。SDSは年1回の定期見直しの他、法規改正などがあった場合に適宜見直しを行っています。
また2024年度には、SDS管理運用の仕組みを理解するとともに、化学物質の適切な使用や管理、SDSの活用方法についての教育(e-learning)を実施しました。
対象者:989名(株式会社東京精密の正社員) 受講率:100%
SDS管理運用フロー
工場標準に基づきSDS管理規定による管理を実施。
出荷品目および扱う物質の危険性の認識を共有します。

化学物質リスクアセスメントの実施
当社では、化学物質リスクアセスメント実施管理規定および管理基準に従い、労働安全衛生法に基づく措置および、労働者の危険または健康障害を防止するため必要な措置を講じています。
化学物質リスクアセスメント実施要件
化学物質などである原材料などとして該当部署が新規に採用や変更するとき
化学物質などの製造や取り扱い業務に係る作業の方法または手順を、新規に採用や変更するとき
対象物による危険性または有害性について変化が生じたり、生じる恐れがあるとき
職場移動など作業環境が変化したときなど
化学物質リスクアセスメント手順
① SDSの確認
② 化学物質等を使用する作業の洗い出しと工程・手順の確認
③ 有害性と暴露量の特定
④ リスクの見積もり
⑤ リスク低減措置の検討
⑥ リスク低減措置の実施
⑦ 化学物質リスクアセスメント実施結果を化学物質リスクアセスメント実施表にまとめ、総務部保全課へ提出
⑧ 提出された化学物質リスクアセスメント実施内容を確認した上で、総務部保全課が購入・使用可否判定
職場巡視
半導体社では、化学品保管状況巡視規程に従い、八王子工場、飯能工場の全部署を対象に年2回の職場巡視を実施しています。チェックシートを用いて、環境管理責任者が任命した職場巡視確認者と部署の化学物質管理者と共に保管場所や保管状態、識別ラベルやSDSなどを確認します。巡視結果は環境管理責任者へ通知され、管理状況が不適当であれば是正を実施します。
特定化学物質管理(PRTR)
PRTR*法、有機則、毒劇物法に基づく化学物質の使用量削減、代替を推進しています。当社が取り扱う化学物質のうち、PRTR法特定物質の基準量を超えている2物質および東京都の環境確保条例で定められた適正管理化学物質5物質の届出を提出しています。
* PRTR(化学物質排出移動量届出制度)
有害性のある化学物質の発生源や、環境中への排出量を把握・集計し、公表する仕組み
PRTR法対象物質排出量
(単位:t)
2020年度 | 2021年度 | 2022年度 | 2023年度 | 2024年度 | |
大気排出量 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
水域排出量 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 | 0.0 |
廃棄物移動量 | 9.4 | 11.1 | 11.0 | 10.0 | 9.8 |
対象範囲:(株)東京精密八王子工場、土浦工場、飯能工場
製品含有化学物質管理
当グループは、環境基本方針に「環境負荷低減の継続的な改善」と「汚染防止」、「事業活動に関する環境関連法規や条例の遵守」を示し、環境関連法規制や顧客要求に対応した製品含有化学物質管理の体制を構築するため、サステナビリティ推進室に製品環境推進チームを設置しています。
同チームは、サプライヤーさまに対し調達部材に含有される化学物質の厳格な管理と報告をお願いする説明会を行い、これまでに400社を超えるサプライヤーさまが参加しました。2024年度は、東京たま未来メッセ(東京都八王子市)で行われたサプライヤー説明会(103社参加)の場で、クラウドサービスによる製品含有化学物質調査への協力を要請しました。また、当社充放電試験装置事業におけるサプライヤーさま向けに、古殿工場(福島県石川郡古殿町)で説明会(38社参加)を実施しました。
RoHS指令、REACH規則などに対する調査を実施するとともに、蛍光X線分析装置やガスクロマトグラフィー質量分析装置などを配備した分析室を有し、必要に応じた確認を行える体制を構築しています。
グリーン調達
当社は、2003年4月にグリーン調達ガイドラインを制定、サプライヤーさまには製品含有化学物質管理に関する取り組みにご協力いただいております。近年、有害化学物質の管理に対する規制が強まるなか、2023年度には、ガイドラインを強化したグリーン調達基準を定め、環境負荷の少なく、環境配慮設計がされた部材を優先的に調達する運用に向けた体制構築に取り組んでいます。
RoHS指令などへの対応
計測社製品は、RoHS指令の6物質および2021年より追加された4種のフタル酸について調査を実施し、100%適合品を出荷しています。半導体社製品は、大型据付型産業機器としてRoHS指令適用除外となっていますが、2018年度にRoHS分析室を設置し、調達部材に含有される化学物質の分析を行っています。
2020年7月からは、POPs規則で追加されたPFOA*¹関連物質の使用制限に加え、TSCA-PBT*²規制に対しても全製品が対応しており、同規制が施行されている地域へは100%適合品を出荷しています。
*¹ PFOA(ペルフルオロオクタン酸)
有機フッ素化合物の一種で、発がん性が指摘されている
*² TSCA-PBT
米国の有害物質規制法(TSCA)が定める難分解性、高蓄積性、毒性を有する物質
各課題への取り組み


