
電気に関する高度な設備・システムを開発・提供し、社会インフラを支え続けている株式会社明電舎様に、東京精密製品の導入に至った経緯と、その導入によってもたらされた変化についてお話を伺いました。
株式会社明電舎について
事業内容について教えてください。
当社は人々の暮らしに欠かせない電気に関わる幅広い技術を有し、多様なソリューションを提供しています。そんな私たちについて知ってもらいたいという思いは昔からあって、ユニークなテレビCMを放映してきました。近年は「電気よ、動詞になれ。」というインパクトのあるキャッチフレーズで展開しています。

従来別々の部品であるモータ(左)とインバーター(中)の機能を一体化
名古屋事業所の概要について教えてください。
名古屋事業所は当社の事業所の中で最も古く、名古屋のすぐ隣の枇杷島という駅の近くにあり、立地条件は抜群です。敷地面積はバンテリンドームおよそ2個分で、ここで働く480人ほどのスタッフを大切にしたいという思いから、達成感と幸福感が得られる職場づくりに力を入れています。
この事業所は2000年の東海豪雨で水没してしまい、それもあってかモーターのチームは甲府へ、インバーターのチームは沼津へ移動しました。その体制で20年ほどやっていたのですが、2021年にモーター・インバーター一体型機をここで製造するようになり、今はEVユニットというチームがEVやPHEVに用いるモーター、インバーターを製造しています。
EV駆動部品の歩みとしては、1999年頃からモーターの開発をスタートしまして、2009年に発売された世界初の量産EV用のモーターとインバーターの生産を開始しました。また、その4年後にはPHEV用のモーターとインバーターの製造を始めました。
当社の中でもモーター、インバーター制御は名古屋発信だという自負がありますので、それを意識してナンバーワンを目指すつもりで取り組んでいきたいと思っています。
製品採用のきっかけ

東京精密の測定機を採用したきっかけを教えてください。
私たちが製造しているモーターの筐体はコップ状の形をしています。その際に深い箇所の穴の測定をしたいのですが、既存の三次元測定機だと形状までは測定できません。この課題を解決するために、東京精密の表面粗さ・輪郭形状測定機を導入しました。それを当社でカスタマイズすることによって、丸みの形や摩耗量の測定ができるようになったんです。
このように製品のカスタマイズができることもそうですが、営業力や対応の早さ、アフターサービスの良さも東京精密の魅力です。最初に来ていただいた時も、ものすごい量の資料を持ってきて、わかりやすく説明していただきました。あれはすごいなと思いましたね。
製品導入後の感想

東京精密の製品を導入したことで生じた変化やメリットを教えてください。
今まで測定できなかった箇所が測定できるようになりました。コップ状のワークの摩耗量を測定したい場合、外部に委託すると費用も時間もかかるんですが、自社ですぐできるようになったので、スピードは格段に早くなりました。個人の力量が上がったのも大きなメリットです。何か課題が生じてどうしようとなった時に、以前は外部に委託して解決を図っていたのが、測定機を活用して自分たちでなんとか解決させようという意識を持てるようになりました。これが1番良かった点だと思っています。現時点では特定の人しか測定機を使えないので、講習会やOJTを通じてできる人を増やしていきたいですね。
それから、明電舎では鉄板の積層品も扱っているのですが、積層品の場合、金属加工と比べて少しガタガタした、ノコギリのような形状になります。その形状をどう表現すればいいか検討するうえで、円筒度を確認したいとかいった思いがあります。それができる装置もあるそうなので、実物を見て導入を検討したいと考えています。
計測機器、東京精密に期待すること

東京精密の計測機器に対する期待、ご要望はありますか。
特に実現してほしいのは変化点の見える化です。装置が稼働している間に私たちの気づかないところで状態が変化することがあって、放置すると大きな問題になりかねないので原因を究明する必要があります。ところが、それまでのデータの中から変化点を見つけ出して原因を探るのはとても大変なので、変化が生じたら機械がすぐ察知してアラームを出してくれると、私たちはとても助かります。
また、当社で作っているモーターは形状が複雑で、管理が非常に難しい一面があります。ですから、3Dスキャナーなどで可視化して、複雑化している形状を誰でも短時間に確認できるようになってほしいと思います。将来的には測定機を音声入力で動かせるとか、放電を可視化できるとか、もっともっと便利になってくれたら嬉しいですね。
モノづくりには職人技も大切で、カバーできるところはカバーしていきたいなと思いますけれど、自動化すべきところは自動化していく必要がありますので、今後も東京精密の製品に期待しています。

株式会社明電舎
名古屋工場
EV品質技術部長
松岡 信吾 様

株式会社明電舎
名古屋工場
EV品質技術部
品質管理課 主任
植松 洋一 様
株式会社明電舎
1897年創業。発電・変電・送電などの電力インフラや、水のろ過処理、電気自動車のモータや、自動車試験装置など、生活に大きく関わるインフラ事業を中心に、電気に関わる設備・システムを国内、海外で提供し続けている。
※2024年10月時点の記事です。